Why Is Low Latency Streaming Important-低遅延ストリーミングの重要性
あなたもしくはお子さんがゲーマーだったら、遅延という概念をすでにご存知かもしれません。どんな優れたゲーマーでも、プレイ中のサーバーとの通信やゲーム中のデータ伝送に長い時間がかかれば、低遅延ネットワークを使用する相手に先を取られ、「バーチャルヴァルハラ」に陥る恐れがあります。
同様に、テレビでも遅延はつきものです。 コメディアンのSuper Dave Osborne(故Bob Einstein)は、衛星放送の遅延を題材にしたコメディ・ビットを制作し、遅延の影響を言葉では言い表せないほどよく表現しました。
低遅延ストリーミングとは?
このスケッチコメディが成功を収めたのは、遠く離れた土地にいる特派員がスタジオにいるタレントにインタビューされた時に、テレビ視聴者の予期するタイムラグ(遅延)を誇張したからです。
ネットワークの遅延に悩まされるゲーマーのように、Super DaveとJimmyの衛星放送で発生した遅延は、リアルタイム対話を妨げました。
これは、23,000マイル離れた静止衛星に向かってビデオ信号を送信し、その信号が戻ってくるまでに約0.5秒かかるという理由だけではありません。 特派員とスタジオの間で行われるあらゆる信号処理、ルーティング、地上中継局などの要素も影響しています。
同様に、インターネット経由の信号をストリーミングする場合も遅延と戦わなければなりません。ストリーミング用のIPパケットを処理し、受信地に導くコンピューターやルーターによって、複数のわずかな遅延が生じるのです
また、送信側では大容量の動画ファイルを圧縮するエンコードという配信前の段階から遅延が発生し、受信側ではIPパケットストリームのデコード段階で遅延が発生します。
遅延に影響を及ぼす要因は?
一般的に、ネットワークの遅延にはいくつかの要因があります。ソースと受信元の間にあるルーターやゲートウェイなどあらゆるネットワーク機器のバッファリングはTCP(Transmission Control Protocol)のように作動します。
また、ネットワーク回線の混雑も要因のひとつです。例えば、ニュース・イベントでは、多くのテレビ局のニュースクルーが同じ携帯アンテナ塔の無線帯域幅を奪い合います。スポーツイベントや大規模な政治的集会では、何千人もの人々が同じ携帯アンテナ塔経由でインターネットにアクセスします。 そのような場合、IPパケットロスによって遅延が発生するかもしれません。
ネットワークの遅延が何か、何が影響するのか、遅延の原因が何なのか、バッファブロートが何か、それを解決するために何をすればいいのかなどの質問に答えられる詳しい説明資料はオンラインで入手できます。
携帯ネットワーク経由のライブストリーミングの場合、遅延に影響を与える最大の要因は、回線の種類です。 例えば、米国では、LTEネットワークによってもたらされる遅延は、
5G携帯ネットワークが整備され、より広く使用されるようになると、より低遅延が実現できます。 しかし、初期の5Gユーザーの数が実際に使用可能な5Gネットワークリソースの容量を上回ってしまう場合、モデムが過剰なトラフィックを処理するために既存のLTEネットワークやLTEの遅延に戻ってしまう恐れがあります。導入初期に低遅延の5G接続に依存している人は、その点に注意が必要です。
LTEネットワークが限定的、あるいはまったく無いような地方や遠隔地では、Inmarsat社BGANネットワークのような衛星アップリンクなどの無線接続がライブストリーミング唯一の実用的なソリューションとなります。 その場合、往復遅延時間は900ms程度です。
また、Wi-Fiネットワークやギガビットイーサネット、10GbEなど、ストリーミング配信用の他のネットワークにも、それぞれの遅延特性があります。
ライブストリーミング時の遅延を改善することは可能か?
ニュース取材でよく使用される携帯ネットワーク経由でライブストリーミング配信する場合、遅延を短縮したり改善する方法は殆どありません。 それが現実なのです。
しかし、ネットワークの遅延がライブストリームに及ぼす影響を抑える方法がないわけではありません。
ハードウェアの観点から、TVU Oneのような無線IP送信機を使用する場合、最初は無線ネットワーク接続から予期される遅延を設定します。 例えば、LTE無線ネットワークでライブストリーミングを行う場合、0.8秒の遅延を設定します。 これは、LTE接続の遅延(250ms)と、エンコードおよびデコードによって発生する遅延を考慮したものです。
次に、ライブ配信する前に、テスト送信を行ってネットワーク接続に適した遅延になっているかを確認します。 問題が生じたりした場合は、適切な遅延を見つけ出すまで、テストを繰りします。
TVU Oneや、TVUリモート制作システム(RPS)などの同社製品は、遅延を技術的な制限ではなく、 プロダクション・バリューとして扱うように開発されています。 そのため、ネットワーク遅延値を確認するテストが成功すれば、TVUのストリーミングソリューションは、遅延が決して変わらないようにそれをロックします。
制作の観点から、現場の記者もスタジオにいるタレントも、本番前にどれくらいの遅延があるのかを理解しておく必要があります。 そうすることで、生放送でのコミュニケーションをスムーズにすることができます。
また、現場の状況が変わる前に、IPネットワークを介して映像を提供している遠隔地のカメラオペレーターが、制御室にいるディレクターの指示に従ってカメラを操作するために、低遅延の確保も制作上考慮する点の一つです。
ネットワークの遅延は、ライブストリームを配信する人にとっては当たり前のことです。ローカル・ネットワークテレビのニュース番組でも、ソーシャルメディアでも同様です。
ネットワーク遅延を理解し、IP送信機に適切な遅延を設定し、レポーターやタレントが遅延を理解した上でちょっとした工夫すれば、視聴者は2人のやり取りの短い遅延に気づくかもしれませんが、Super Daveの芸を見たKimmel視聴者のように笑うことはないでしょう。